2014.06.05
進化と共に失うもの
30年前の名古屋にはまだ沢山の野風景が残っていて、僕たちの遊び場といえば
木の上だったり、田んぼに入ってザリガニを捕ったりして毎日が泥んこだった。
またそんな毎日があたりまえのように存在していて、泥だらけで家に帰っても
母さんは決して怒らなかったように思う。
もちろん「も~~泥だらけになって、早くお風呂に入りなさい」って少し強い口調では
あったかもしれないけど、でも少年だった僕には本気で怒っていないくらいはわかった。
21世紀。僕たちが小さい頃に描いていた近未来の世界。
飛行機や新幹線でどこへでも移動が可能で、地球の裏側の誰かにスマートフォンや
LINEで繋がれる。インターネットの登場ですべての問題が検索で解決してしまう。
お父さんの分厚い辞書を借りて、子どもと一緒に辞書を引きながらのコミュニケーションなんて
いつの間にか消えてしまった。
人は便利や快適を手にした代償に失ったものは、もしかしたらはかり知れないくらい
大きいのかもしれない。
木の上で感じる風の涼しさ。泥だらけで勇気を振り絞って穴に手を突っ込んで捕ったザリガニ。
カブトムシが沢山いる父さんと僕たち兄弟しか知らない秘密の場所。
こんな経験をした僕たちは今となってはその体験が本当に貴重だったのだと30年と時を経て
感じている。
さあ次の世代に僕たち大人が何を伝えて何を残していくのか、自分なりに考えていこうと思う。
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